船員法改正についての動向
令和7年1月28日(火)、交通政策審議会第45回海事分科会が開催されました。
議題の中で「船員法等の一部改正について」が取り上げられました。(いわゆる諮問です。)
これは、船員法第110条第1項、船員職業安定法第95条第1項、船舶職員及び小型船舶操縦者法第26条の2の規定に基づき、国土交通大臣が交通政策審議会の意見を聴く必要があるためです。
諮問された内容は以下のとおりです。
【船員法の一部改正】
一 船舶所有者は、雇入契約を締結した船員について、非常の場合における海上労働の安全及び衛生を確保するための教育訓練を実施しなければならないこととする。
二 船舶所有者は、遠洋区域等を航行区域とする船舶において船長等の職務を行う旨を定めた雇入契約を締結した船員について、国土交通大臣の登録を受けた講習機関が行う生存技術(仮称)等に関する講習を受けさせなければならないこととする。
三 船舶所有者は、船内作業の方法を改善するための措置等を継続的かつ計画的に講ずることにより、快適な海上労働環境を形成するように努めなければならないこととし、国土交通大臣は、当該措置等の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
四 船長は、その輸送中のコンテナが海中に転落したときは、直ちに、その詳細を付近にある船舶及び海上保安機関等へ通報しなければならないこととする。
五 国土交通大臣は、漁ろうに従事する外国船舶に立ち入り、当該外国船舶の乗組員が千九百九十五年の漁船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(仮称)(以下「漁船員条約」という。)に適合する航海当直を実施しているかどうか等の検査を行うことができることとする。
六 船員手帳への船長による船員の勤務に関する事項の記載及び国土交通大臣による航海当直等に必要な知識及び能力の認定に係る証印について、それぞれ書面又は証書の交付で代替することができることとする。
七 その他所要の改正を行うこととする。
【船員職業安定法の一部改正】
一 地方公共団体は、無料の船員職業紹介事業を行うことができることとする。
二 地方運輸局長、無料職業紹介事業者及び船員の募集を行う者等は、求人等に関する情報を提供するときは、虚偽の表示等をしてはならないこととするとともに、正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならないこととする。
三 船員の募集に関する情報を収集し、船員になろうとする者等に提供する行為等を業として行う者について、二と同様の措置を講ずるとともに、報告徴収等の規定を整備する。
四 地方運輸局長及び無料職業紹介事業者等は、船員職業紹介に係るあっせんをするときは、求職者の海技免許の資格の別等を求人者に通知しなければならないこととする。
五 その他所要の改正を行うこととする。
【船舶職員及び小型船舶操縦者法の一部改正】
一 船舶所有者は、一定規模以上の漁船には、一定の乗船履歴を有し、かつ、漁ろう操船講習(仮称)を修了した者以外の者を、船長又は航海士として乗り組ませてはならないこととする。
二 漁船員条約の締約国が発給した資格証明書を受有する者であって国土交通大臣の承認を受けたものは、海技免許を受けずに船舶職員になることができることとする。
三 国土交通大臣は、漁ろうに従事する外国船舶に立ち入り、当該外国船舶の乗組員が漁船員条約に適合する有効な資格証明書を受有しているかどうか等の検査を行うことができることとする。
四 その他所要の改正を行うこととする。
今後、国会へ法案が提出されて審議の上、可決されるのでしょうか?
来島海事事務所
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