山林の所有者になられた方へ

森林法(昭和26年法律第249号)

 新型コロナウイルスの流行により、リモートワークの急速な普及により、都会から離れて生活することが可能となりました。それと同時に、空前のキャンプブームにより、今まで放置されていた山林を購入して、キャンプを楽しむといった人も増えています。しかし、山林を購入して、立木の伐採やキャンプ場への整備を考えている所有者の方は注意が必要です。

 山林は木材生産機能を有しているだけでなく、水土保全機能等の多面的な機能を有しています。特に近年、日本各地で毎年のように発生する豪雨災害により、その水土保全機能は特に重要視されています。山林の無秩序な伐採が行われると水土保全機能は失われ、山崩れなど災害発生の誘因ともなり、その後の山林機能の回復には長い年月と多大な経費が必要です。

 そのような無秩序な伐採や開発行為を規制するために、森林法によって許可や届出を義務付けています。

 

1.森林の土地の所有者届出制度

 平成23年4月の森林法改正により、平成24年4月以降、森林の土地の所有者となった方は市町村長への事後届出が義務付けられました。これにより、個人・法人を問わず、売買や相続等により森林の土地を新たに取得した方は、面積に関わらず届出が義務化されました。(※ただし、国土利用計画法に基づく土地売買契約の届出を提出している方は除く。)

 

2.林地開発許可制度

 開発行為を行うに当たっては、「森林のもつ公益的機能を阻害しないよう適切に行うことが、開発行為を行うものの当然の責務である」という観点から、森林法の規定により、工事に着手する前に知事の許可が必要とされています。(森林法第10条の2)

 対象となる森林の区域は、地域森林計画の対象となっている民有林です。対象となる区域によっては、許可が必要なかったりするため、慎重に確認をする必要があります。

 対象となる開発行為の例は、ゴルフ場、レジャー施設、工場、宅地、農用地、道路等の設置及び造成、並びに土石等の採掘、その他の森林の形質を変更する行為です。

対象となる開発行為の規模としては、

 ①開発行為に係る森林の土地の面積が、全体計画で1ヘクタールを超える場合

 ②道路を開設する場合には、有効幅員が3メートルを超えるもので、開発行為に係る森林の土地の面積が全体計画で1ヘクタールを超える場合

 ただし、開発行為に係る森林の土地の面積が、0.6ヘクタール以上の場合については、開発行為の事前協議をしてください。

 

3.保安林制度

 水を育んだり、土砂崩れなどの災害の発生防止、田畑や住宅などを風や砂の害から守るといった、私たちの暮らしに重要な役割を果たしている森林は、「保安林」に指定されています。保安林では、このような機能を失わないように、伐採や土地の形質の変更などが規制されます。

 ①保安林の指定施業要件(※)を遵守しなければなりません。

  (森林法第34条から34条の4)

  ※立木の伐採方法や伐採の限度、植栽の義務などの施業方法を定めたもの

 ②保安林内で立竹の伐採等(※)を行うためには、あらかじめ都道府県知事の許可を受ける必要があります。(森林法第34条)

  ※立竹の伐採、立木の損傷、家畜の放牧、下草、落葉もしくは落枝の採取、土石もしくは樹根の採掘、開墾その他の土地の形質変更

 

4.森林伐採の届出

 都道府県知事等は、伐採届出書の提出により森林資源の異動状況を知ることが出来ます。
このため森林法では、森林所有者等に対し事前の届け出を義務付けています。(森林法第10条の8)

 届出制度の対象となる森林は、地域森林計画で定められた区域内の森林のうち保安林を除いた森林です。
区域の確認は市町村役場、農林事務所などに備え付けの森林計画図で慎重に確認を行う必要があります。

 

 ただし、届出を必要としない場合の例として、

  ・林地開発の許可を受けた者が行う場合

  ・除伐する場合

  ・倒木、枯死木又は著しく損傷した立木を伐採する場合

  ・緊急の用に供する必要がある場合(伐採後に緊急伐採届出書の提出が必要です。)

  ・森林経営計画に基づき伐採する場合(伐採後に森林経営計画に係る伐採等の届出書の提出が必要です。) など

 また、開発対象面積が0.6ヘクタール以上の場合は林地開発計画事前協議の手続きが必要となります。

 

 なお、無届出の場合、森林法第207条による罰則が適用されます。

森林法 伐採 開発許可

 

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