明日から始められる船員のための普通選挙

内航船員のための選挙権行使について分かりやすく解説したページです。一人一票の実現に向けて、微力ながら尽力して参ります。

 衆議院議員総選挙が終了しました。船員の方々は、選挙権を行使されたでしょうか。今回、乗船中のため選挙に行けなかった方のために、来たる参議院議員選挙に向けて準備を始めましょう!洋上投票

 公職選挙法では、船員労働の特殊性から投票日において投票することができないことから、船員の清き一票を反映させるために投票方法に例外規定が設けられています。3つの方法が設けられています。

 ①指定港での不在者投票

 ②船舶内での不在者投票

 ③洋上投票

※いずれの方法も国政選挙(衆議院議員総選挙および参議院議員通常選挙)に限られます。

 

内航船員の投票に関するものは、①と②です。

 まず、①、②いずれの場合においても、船員が不在者投票をするためには、事前に選挙人名簿に登録されている選挙管理委員会から「選挙人名簿登録証明書」の交付を受ける必要があります。

 選挙人名簿登録証明書交付申請書に、「船員手帳」または「船員である旨の証明書」等と一緒に申請します。なお、実習を行うため航海する学生(練習船に乗船する実習生)についても、選挙人名簿登録証明書の交付を受けることができます。この場合、交付申請書に「練習船実習生証明書」と一緒に申請する必要があります。

証明書の有効期限は交付の日から7年です。

なお、「選挙人名簿登録証明書」の交付申請は、投票期間中でなくても可能です。

 最も注意しなければならないのが、一度選挙人名簿登録証明書の発行を受けている方は、通常の投票(投票期日での投票)や期日前投票などをする場合も、選挙人名簿登録証明書の提示が必要になることです。

 

では、投票方法別に見ていきましょう。

 

1.指定港での不在者投票について

 総トン数5トン(漁船の場合は30トン)以上の船舶に乗船する船員で、投票日当日に投票所で投票することができない者は、指定港の市区町村選挙管理委員会で投票することができます。

 

指定港とは,公職選挙法施行規則別表第2に定められた,一定規模の港を持つ市区町村のことです。

福岡県近辺で言えば、「福岡市博多区」「佐賀県唐津市」「大分県津久見市」「山口県下関市」です。

 

 投票は指定港の市区町村選挙管理委員会の不在者投票記載場所で行います。「選挙人名簿登録証明書」と「船員手帳」を持参して投票所に行って下さい。

 

 投票できる時間は,指定港の市区町村で選挙が行われている場合には,午前8時30分から午後8時までです。選挙が行われていない場合は,その市区町村選挙管理委員会の執務時間内に限られます。

 

 投票は投票日の前日まで行えるが、この不在者投票で投じた1票が受理されるには、投票日に選挙人名簿登録地の選挙管理委員会に投票が到着している必要があります。そのため、可能な限り早めに手続きをするようにしましょう。

 

2. 船舶内においての不在者投票について

 総トン数20トン(漁船の場合は30トン)以上の船舶に乗船する船員で、選挙人名簿登録証明書の交付を受けており、選挙の当日に乗船中のために自ら投票所で投票することができない場合は、船舶内に設置された不在者投票記載場所で投票することができます。

 

 船舶内での不在者投票をするためには、投票用紙等の請求が必要になりますが、次のいずれかの方法により、事前にを請求しておく必要があります。

 ⑴選挙人名簿に登録されている市区町村の選挙管理委員会に請求する場合

  ア  船員本人が請求する場合
  投票用紙の請求には、次のものが必要となります。

  • 投票日当日、自分が不在者投票事由に該当する見込みであることについての宣誓書
  • 選挙人名簿登録証明書
  • 船舶内で投票しようとする旨を申し立てること

  イ 不在者投票管理者である船長またはその代理人が船員本人を代理して請求する場合 

  投票用紙の請求に は、次のものが必要となります。

  • 投票用紙および投票用封筒の請求書
  • 請求をした船員本人の選挙人名簿登録証明書

 ⑵指定港の市区町村の選挙管理委員会に請求する場合

 投票用紙等の請求は、不在者投票管理者である船長またはその代理人が船員本人に代わって請求しますので、船員本人が請求することはできません。

 ※本人が指定港の選挙管理委員会に請求する場合、「1.指定港での不在者投票」の方法により、指定港の選挙管理委員会でその場で投票を行ってください。

 投票用紙の請求には、次のものが必要となります。

  • 投票用紙および投票用封筒の請求書
  • 請求をした船員本人の選挙人名簿登録証明書
  •  

投票は、船長不在者投票管理者となり、船舶内に設置された不在者投票記載場所で行います。

 投票された不在者投票は、不在者投票管理者(船長)よりその船員が選挙人名簿に登録されている市区町村の選挙管理委員会の委員長宛に送付します。

 

明日から始められる船員のための選挙権でした。

衆議院議員総選挙、参議院議員通常選挙

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