船員の給料手取り額はこうやって計算されている!
こんにちは。来島海事事務所です。
新人船員の皆さん、もう初任給は振り込まれましたよね?
喜びの半面、「聞いていた額に比べて少ないよな!?」と感じた方も多いのではないでしょうか。
本日は「➀給与明細の見方」そして「➁手取り額の計算方法」最後に「➂今後手取り額がどのように変化するのか」解説してきます!
➀給与明細の見方
社会人一年目の給与明細例を見てみましょう。初任給30万円のパターンです。
勤務先によって、フォーマットは違うものの、以下の3つの大項目で構成されていることが多いです。
(1)総支給額:給料とその他手当の合計/額面といわれている
(2)控除合計額:社会保険料や税金の合計
(3)差引支給額:(1)から(2)を引いた額で実際に振込まれる額/手取り額といわれる
上記からも分かる通り、初任給の額は(1)の額に値し、そこから(2)の社会保険料や税金が引かれるため、実際に振込まれた金額が聞いていた額に比べて少ないという現象が起きるのです。
➁手取り額がどのように計算されているのか
上記で触れたとおり、(1)総支給額ー(2)控除合計額=(3)差引支給額つまり手取り額です。
(1)の総支給額は、勤務先等によって異なりますので、割愛させていただきます。手当の種類も勤務先によって異なりますので、就職前に確認しておきたいところです。
本日詳しく見ていきたいのが(2)の控除合計額についてです。色で区分けした給与明細例を見てみましょう。
一般的に初任給では、雇用保険と所得税が差引かれます。
【雇用保険について・その計算方法】
労働者の安定した雇用と雇用の促進を目的とした社会保険制度のひとつであり、政府が管掌する強制保険制度です。失業給付、育児休業給付金、介護休業給付金などに使われています。
計算方法:総支給額×雇用保険料率(5.5/1,000)
【所得税について・その計算方法】
個人の所得に対してかけられる国税です。会社勤務の場合、給料から天引きされ、国に毎月納める源泉徴収という方法が取られています。
計算方法:総支給額ー社会保険料合計 その額を源泉徴収税額表で確認
続いて、入社二ヶ月目(翌月5月)の給与明細例を見てみましょう。
一般的に入社二か月目から、船員保険・厚生年金保険の徴収が始まります。
【船員保険について・その計算方法】
海上で働く船員という特定の労働者を対象に、給付を行うこと等により生活の安定と福祉の向上に寄与することが目的の保険です。陸上勤務者でいう、健康保険と似た保険にあたります。
計算方法:標準報酬月額(給与の実態を調査・算定した上で一定の幅で区分したもの)から料率表で確認
船員保険について、こちらの記事も合わせてご覧ください。
【厚生年金保険について・その計算方法】
厚生年金保険の適用を受ける事業所(企業)に勤務する会社員や公務員など70歳未満の人が原則として全員が加入する公的年金制度のことです。
計算方法:標準報酬月額(給与の実態を調査・算定した上で一定の幅で区分したもの)から料率表で確認
では、入社二年目に該当する翌年6月の給与明細例を見てみましょう。なお、ここでは基本給が2万円アップしたことを想定しています。
一般的に、翌年6月から住民税の徴収が始まります。
【住民税について・その計算方法】
一定以上の所得を得ている人が、自身の居住地域に納める税金です。前年の所得に対して課税されるため、多くの方は社会人2年目から本格的に住民税を支払うことになります。
計算方法:住民税=所得割+均等割+森林環境税 *居住地域によって異なります
➂今後手取り額がどのように変化するのか
手取り額の計算方法を見てきました。給与明細を見て「あれ?」とお気づきの方もいるかもしれませんが、入社二年目に入り、基本給が2万円アップしたにもかかわらず、手取り額が少なくなっているのです!!これは、住民税の支払いが始まったことによるもので、多くの二年目の社会人が経験する現象とも言えます。
事前に知っておき、心の準備をしておきましょう。
以上、人にはなかなか聞けない給与明細の話でした。
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