早期の乗組員交代を望みます!
新型コロナウイルスの影響により長期乗船を強いられる乗組員がいる中、AMSA(Australian Maritime Safety Authority)は、乗組員の連続最大乗船期間に関する暫定的な取扱いについて、「Marine Notice 10/2020」 を発行しました。
Marine Noticeによると、
① 乗組員の連続乗船期間は、原則として 11 ヵ月未満であること。
② 連続乗船期間が 11 ヵ月以上の乗組員であって、有効な船員雇用契約書(SEA)を持つ者に対しては、旗国により承認された、連続乗船期間が 14 ヵ月を超えない送還計画書の提示が要求される。
③ 有効な SEA を持たない乗組員に対しては、有効な SEA あるいは送還を手配すること。
※14 ヵ月を超える乗船期間の延長は、乗組員の送還のために
⑴あらゆる可能な努力がなされたにもかかわらず適わなかったこと
⑵当該乗組員が了解していることが書面にて示されていること
⑶1ヵ月以内の送還計画が用意されていること
全ての条件を満たして初めて認められるものです。
AMSA は 新型コロナウイルスの影響における暫定措置を 2021 年 2 月 28 日まで延長するとしています。
2021 年 2 月 28 日より後は、Marine Notice 17/2016 の取り扱いによることになります。
確かな情報筋からの情報では、オーストラリア以外の PSC Inspection においても、SEA の有効期限切れ等による指摘が相次いでおり、乗組員を交代するまでの間、長期間にわたり船舶が拘留されるケースも報告されているとの事です。
また、最近の流れではMO/ILO/UNCTD その他の関係団体から、国連加盟国に対し、乗組員交代問題を解決するための早急な対策を求める共同声明が出されています(IMO Circular Letter No.4204/Add.30 on 11September 2020)。
このCircular に強制力はありませんが、加盟国に対し、11 ヵ月を超える SEA の延長の承認を控えることを要請する内容の記載もあります。これを受け、すでに SEA の 11 ヵ月を超える延長を認めないとする旗国も出てきているとのことです。
運航会社の配乗関係者、船舶管理会社におかれましては、乗組員の交代は、
緊急事案として早急に計画を立てて実施するべきです。
やむを得ず、連続乗船期間が 11 ヵ月を超える場合には、雇用契約書の延長及び具体的かつ迅速な送還計画等に関し、旗国の承認を得ることも大事ですが、乗組員の人権や生活環境に十二分に配慮を忘れないようにして頂きたいと思います。
送還計画書その他関連の証拠書類をいつでも PSC 検査官に対して提示できるよう入港前には準備をお願い致します。ただ、この処置が受け入れられるかにつきましては、最終的には PSC 検査官の判断となるため、万全とは言えません。拘留措置を受けたくない場合には乗組員が交代していることが最も確実な方法と言えます。
全ての船員が大切な家族のもとに帰られることを切に願います
来島海事事務所(海事代理士)
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