環境規制に待ったなし!2
海運業界にも環境規制の波が次々と押し寄せてきています。
御社の海務や工務担当のグループリーダーは、新しい環境規制に対応できているでしょうか?
「環境規制に待ったなし!」シリーズの第2弾です。
CIIの既存船への適用(2022年11月~)
CII : Carbon Intensity Indicator(二酸化炭素放出実績指標)
【概要】
総トン数5,000トン以上の12種類の用途の外航航路船舶を対象に、1年間の二酸化炭素の放出実績(CII)について毎年の報告及び評価を義務付けるものです。
また、CIIの評価結果が一定水準( E評価又は3年連続D評価)に満たない場合には、船舶所有者は改善計画を作成し、地方運輸局又は船級協会による確認を受けることを義務付けられます。
(例:ばら積貨物船の場合)
CIIの算定式 = (1年間の燃料油の消費量x CO2放出量の換算係数)/(積載能力(DWT) x 1年間の航行距離)
CIIの算定においては、船舶の種類や運航形態等に応じた補正を行うことが可能です。
(ここでは、補正に関する数式はマニアックなため割愛します・・・)
【今後の流れ】
MARPOL条約附属書Ⅵに基づき、2022年11月1日から2022年12月31日までの間に、CIIに関する事項を記載した二酸化炭素放出抑制航行手引書(SEEMP)の確認を受けることにより、Confirmation of Complianceの交付を受けることが必要となります。
確認された手引書に従って、2023年の二酸化炭素の放出実績を収集・算定を行い、2024年以後毎年、CIIの報告を実施することとなります。
【CIIの報告】
CIIが適用される船舶の船舶所有者は、1年間の燃料油消費実績をもとにCIIを算定し、3月31日までに、①燃料油消費実績、②補正後のCII算定値、③補正前のCII算定値、④CIIの自己評価結果等を地方運輸局又は船級協会に報告することになります。
(なお、CIIが適用されない船舶の船舶所有者は、燃料油消費実績のみを翌年の3月31日までに報告する必要があります。)
報告後、地方運輸局又は船級協会は、CIIの評価結果の確定、(改善計画の確認)を行い、燃料油消費実績報告・二酸化炭素放出実績評価履行確認書(SoC:Statement of Compliance)を交付する流れとなります。
【継続的な見直し】
そして、手引書や確認は1回作成したら終わりではありません。CIIの算定式に組み込まれている「削減率」が毎年厳しくなるよう設定されているため、毎年同じことをしていてはCII評価も下がっていくことになります。つまり、継続的な運航方法の見直しの必要があります。
① 定期的な見直し:3年ごとに、CIIに関する事項について二酸化炭素放出抑制航行手引書(SEEMP)の見直しが必要となる。次回の見直しは、2025年12月末までとなる。
② CIIの評価がE評価又は3年連続D評価の場合:CIIの評価が一定水準を満たさない場合には、改善計画を作成し、手引書への反映が必要となる。
③ 監査の実施:毎年のCIIの報告に基づき交付されるSoCの交付から6か月以内に監査を受けることが必要となる。監査の趣旨は、CIIの目標達成に向けた取り組みの実施状況について確認を行うことです。
第1弾 環境規制に待ったなし!|LIGHTHOUSE PARTNERS (kijima-marine.com)
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