上手い言葉に騙されるな!(船員のための住民税講座)
船員の皆様、日々の海上勤務お疲れ様です。また、陸上休暇を満喫されている船員の方々、お疲れ様です。
本日はよく話題にあがる「住民税」についての話です。
外航船員の方は1年の半分は乗船勤務で日本にいないのに陸上労働者と同じ計算式で課税所得が計算されて、個人市民税や個人県民税が徴収されています。
船員の間では
「船員は○○市に住むと住民税が減免になるぞ。」
「○○市は船員の住民税が半額になる制度があるらしい。」
といった怪しい話がSNSなどで話題になっているのを拝見しました。
初めに結論を書きますが「そんな制度はありません!!」(2023年5月30日現在)
実際に「住民税減免が実現!」といった記事などは誇大広告のようなもので、内容は全く正確ではありません。
正確には「個人住民税均等割額の減免」です。
それでは、四日市市を例に見てみましょう。
令和5年度現在の四日市市の情報では個人住民税均等割額は以下の通りです。
均等割額 市民税額 3,500円+県民税額 2,500円=均等割額 6,000円
参照ページ⇒市・県民税とは | 四日市市役所 (yokkaichi.lg.jp)
均等割は年額となりますので、1年間で6,000円を納めます。
※余談ですが、これ以外に所得割額により別途納める個人住民税があります。
難しい解説は省略しまして、四日市市民で外航船員で長期乗船勤務する者は、個人住民税均等割額の減免を受けられます。
減免の割合は、5/10 です。
つまり、6,000円 × 5/10 = 3,000円
他の自治体から四日市市に住めば、年間3,000円お得になるわけです!!
他の自治体でも制度は同じです。
えっ・・・・すいません、たった3,000円安くなるってことですか?
と疑問に思われた船員の皆様、
はい、そうです!年間3,000円です!
つまり、「住民税減免を実現!」と大々的に公表するならば、均等割額ではなく所得割額を減免するようにルール作りをしなければ誰も引っ越してまで減免の制度を受けようと思わないはずです。
所得割額の減免を実現するには、外航船員ならば尽力すべきは全日本海員組合でしょうか、それとも大手海運会社でしょうか・・・・・
これからも船員の皆様の航海の安全をお祈りいたします。
【参照法令】
〇四日市市税条例(平成16年12月28日 条例第42号)
(令和5年1月1日施行)
(市民税の納税義務者等)
第23条 市民税は、第1号の者に対しては均等割額及び所得割額の合算額により、(中略)課する。
(1) 市内に住所を有する個人
(均等割の税率)
第31条 第23条第1項第1号又は第2号の者に対して課する均等割の税率は、3,000円とする。
(市民税の減免)
第51条 市長は、納税者のうちで特に必要と認める者については、その者に対して課する市民税を、次により減免する。ただし、第36条の2の規定による申告書を正当な理由がなくてその申告期限までに提出しなかった者又は虚偽の申告をした者については、この規定は適用しない。
(1)~(2)略
(3) 前2号のほか特別の事由があると認める者については、減免する。
附則
(個人の市民税の税率の特例)
第32条 平成26年度から令和5年度までの各年度分の個人の市民税に限り、均等割の税率は、第31条第1項の規定にかかわらず、同項に規定する額に500円を加算した額とする。
(追加〔平成24年条例6号〕、一部改正〔令和2年条例34号〕)
○四日市市長期外航勤務に従事する船員等に対する個人市民税の減免に関する要綱
平成26年1月15日 告示第15号
(趣旨)
第1条 この要綱は、長期外航勤務に従事する船員等に係る個人市民税の減免について必要な事項を定めるものとする。
(減免の対象者)
第2条 市長は、外航船舶に乗船して船内における職務を遂行する等、陸地以外の場所で勤務することによっていずれの国からも行政サービスの享受に制限があると認められ、市民税の課税対象となる年の1年間に6か月を超える勤務期間の者に係る個人市民税を四日市市税条例(平成16年四日市市条例第42号)第51条第1項第3号の規定により減免することができる。
(一部改正〔令和3年告示14号〕)
(減免の対象となる個人市民税の賦課年度)
第3条 減免の対象となる個人市民税は、前条に規定する勤務期間が属する年の翌年度に課される個人市民税とする。
(一部改正〔令和3年告示14号〕)
(減免割合)
第4条 減免の割合は、個人市民税均等割の税率(四日市市税条例第31条第1項及び附則第32条に規定する均等割の税率をいう。)に相当する額の10分の5とする。
(減免の申請)
第5条 この要綱により個人市民税の減免を受けようとする者は、四日市市税条例第51条の2の規定により、長期外航勤務に従事する船員等に対する個人市民税減免申請書(第1号様式)に必要事項を記載し、第2条に規定する勤務に従事したことを証明する書類を添付の上、市長に提出しなければならない。
(一部改正〔令和3年告示14号〕)
(減免の決定)
第6条 市長は、前条の規定により減免の申請があったときは、速やかにその内容を審査し、適当と認めたときには減免の決定を行うものとする。ただし、減免を決定した後であっても、申請の内容と異なる事実が判明したときは、その決定を取り消すものとする。
(補則)
第7条 この要綱に定めるもののほか、この要綱の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この要綱は、平成26年4月1日から施行する。
附則(令和3年1月20日告示第14号)
この要綱は、令和3年4月1日から施行する。
(全部改正〔令和3年告示14号〕)
(個人の道府県民税又は延滞金額の減免)第45条 市町村長が個人の市町村民税又はその延滞金額を減免した場合においては、当該納税者又は特別徴収義務者に係る個人の道府県民税又はその延滞金額についても当該市町村民税又は延滞金額に対する減免額の割合と同じ割合によつて減免されたものとする。(個人の均等割の税率)第310条 個人の均等割の標準税率は、三千円とする。
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